岩手県大船渡市で発生した大規模な山火事が、SNS上でのデマ情報の拡散を引き起こしています。この火災は、平成以降最大規模のものであり、発生から6日が経過した今もなお消火活動が続いています。火は南西方向へと広がり、避難指示が出されている地域では危険が増しています。さらに、連続して発表される乾燥注意報が、火災の拡大を助長している状況です。
そのような中、SNSでは「エネルギー兵器によって火がつけられ、スマートシティ化の計画の一環である」といった根拠のない陰謀論が広まっています。このような情報は、100万回以上閲覧されている投稿もあり、被災者や地域住民に混乱をもたらしています。日本ファクトチェックセンターの古田編集長は、このようなデマが災害時に広がる理由として、動揺による判断力の低下を指摘しています。
大船渡市の中学校で避難生活を送る生徒たちも、SNS上のデマについて「ばかげた話だ」との声を上げています。「今回のレーザー兵器に関する情報は信じられない」と語る生徒は、SNSは信頼できる情報源であるべきだと強調しました。このように、災害時におけるSNSの利用は、一部では助け合いの手段となる一方で、誤った情報が混乱を招く要因ともなっています。
過去の事例として、2016年の熊本地震や昨年のノ半島地震では、SNS上での虚偽情報が問題となり、実際に逮捕者も出ています。古田氏によると、災害が発生すると関心が高まり、情報が錯綜するため、誤った情報が広まりやすくなるとのことです。
現在、東京銀座の岩手県アンテナショップには被災者支援のための募金箱が設置されていますが、SNSでのデマ情報は、支援活動にも影響を及ぼす可能性があります。専門家は、SNSは有用な情報共有の手段である一方で、誤情報が善意から拡散されることによって混乱を招くことがあるため、慎重な情報の扱いが求められると警鐘を鳴らしています。私たちは、目の前の情報が本当に信頼できるものなのか、しっかりと見極める必要があります。