長崎県が新たに推進する「スタジアムシティ」プロジェクトが、経済波及効果963億円を見込む中、国の注目を集めています。このプロジェクトは、東京ドーム1.5個分の広さにスタジアムやアリーナ、商業施設などが整備されるもので、地域経済の活性化が期待されています。
スタジアムシティ内には、サッカークラブ「ヴィファーレン長崎」の試合や様々なコンサートが行われる「ピーススタジアム」が設置されます。このスタジアムの最大の特徴は、ピッチまでの距離が最短5メートルという、日本一近い応援席を備えている点です。観客は選手の入場を間近で体感できる臨場感あふれる環境が整えられています。年間約20試合が予定されており、試合のない日には一般開放されるほか、託児所の設置も計画されています。
さらに、スタジアムシティには長崎ベルカの拠点となる6000人収容のアリーナも併設され、県内最大級のオフィスビルが隣接します。このオフィスビルの屋上には、日本初のスタジアム上空を通過するジップラインが設置され、7階建てのショッピングモールへとつながります。ショッピングモールには約90店舗が入る予定で、地域住民や観光客に多様な購買体験を提供することが期待されています。
また、スタジアムシティには試合観戦が可能な「スタジアムビューホテル」も新設され、客室からはスタジアムの景観を楽しむことができます。このホテルでは、通信販売を手掛けるジャパネットならではのサービスも展開され、宿泊客は気に入った家電や家具をその場で注文することも可能です。
プロジェクトの年間利用者数は約850万人を見込んでおり、長崎経済の発展に寄与することが期待されています。しかし、懸念されるのは交通渋滞です。スタジアムシティ周辺では、JR長崎駅と浦上駅の間での車の渋滞が予想されます。これを緩和するため、県は歩行者を優先した道路整備を進めており、歩道の幅を最大5メートルに広げる計画です。
ジャパネットは、ソフトバンクと提携し、情報通信技術を活用した渋滞緩和策も導入予定です。また、訪問者が公共交通機関を利用したくなるような仕組みづくりとして、生ビールが楽しめるビール醸造所の設置も検討されています。
この壮大なスタジアムシティプロジェクトは、長崎の街と人の流れを大きく変える可能性を秘めており、来年の開業に向けて工事が進行中です。総事業費は800億から900億円と見込まれ、地域活性化の起爆剤としての期待が高まっています。