一寸先は落差61メートルの崖“世界で最も危険な住宅” 立ち退き求める市当局と“聖地”の住民対立 ボリビア

ボリビアのエルアルト市で、落差61メートルの崖に接するように建てられた住宅に住む住民たちと、市当局の間で激しい対立が続いています。この地域は「世界で最も危険な住宅」として知られ、崖の縁に並ぶカラフルな屋根の家々は、今にも崖の底に飲み込まれそうな危険な状態にあります。

 

市当局は、地球温暖化による豪雨の影響で崖の土台が崩れかけていることを理由に、住民に立ち退きを求めています。市の調査によると、崖の土壌は強固な岩盤ではなく、砂や粘土によって構成されているとのことです。一方、住民たちはこの場所が安定していると主張し、崩壊の危険性は低いとしています。彼らにとってこの地は、先住民族の文化に根ざした神聖な場所であり、日常生活や儀式が行われる重要な地域でもあります。

 

住民の中には、「私たちはここを離れるつもりはありません。この場所は私たちの仕事場であり、土地を守るための儀式を行うことで安定を保っている」と語る人もいます。また、雨水を別の場所に流すなどの独自の対策を講じている住民もいるようです。

 

しかし、市当局は住民に対し、危険を通知した上での移転を求めており、拒否する場合は強制的に移転を行う可能性があると警告しています。現地では、大雨の警報が出されており、危険な状況がさらに悪化する恐れがあります。

 

この問題は、住民の生活と文化、そして安全性の確保という二つの重要な側面を巡る対立であり、今後の展開が注目されます。市当局と住民の対話がどのように進展するか、そしてこの危険な環境がどのように解決されるのかが、今後の大きな課題です。

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